第32回 FFTCG:『ChapterⅢ』 導入後の有力デッキ紹介

『ChapterⅢ』が加わり、デッキにも多くのバリエーションが生まれています。現在、各地で行なわれている『エリア・チャンピオンシップ』はシールド戦で開催されていますが、来年の頭に行なわれる『クリスタルカップ』は構築戦で開催されます。

『クリスタルカップ』は、夏に行なわれた全国大会同様、店舗予選とエリア予選を勝ち抜いたプレイヤーによって全国一の座を争う大会です。

エリア大会と決勝大会はこの冬に発売される『ChapterⅣ』を含めての戦いになりますが、店舗予選は『ChapterⅢ』までのセットを使用しての戦いとなります。まずは、『ChapterⅢ』の環境から始まり、最後には、『ChapterⅣ』で戦いが行なわれるため、勝ち抜くための道のりは夏の全国大会以上に厳しくなるかもしれません。

そこで、今回はサンプルデッキを混じえて、『ChapterⅢ』が加わったあとに各店舗などで好成績を残したデッキの5つを紹介していきます。


■火雷 『ソルジャー』

デッキの動き

まず、最初に紹介するのは、ソルジャーデッキです。【3-005S】ザックスや【1-153S】クラウド、【3-069R】アンジールといった、ソルジャーたちのつながりを利用したデッキです。

【3-005S】ザックスや【3-069R】アンジールといった『ChapterⅢ』で加わったソルジャーは、ブレイクゾーンに置かれたときに、アドバンテージを得るアビリティを持っています。これによって、【1-103R】オーディンや【1-051U】アレキサンダーなどの召喚獣でブレイクされても、アドバンテージを失うことがありません。

これらのフォワードが、対戦相手のフォワードと相討ちといったケースでも、【3-069R】アンジールならば、【3-005S】ザックスにつなげることができますし、【3-005S】ザックスならフィールドに【1-153S】クラウドを出すことができるので、有利な状況を作りだすことが可能です。

攻守に渡って息切れしにくいということが、このデッキの利点と言えるでしょう。

使うときのポイント

【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスといったフォワードは、ブレイクゾーンに置かれることで始めてアドバンテージを発揮します、その際、相手に召喚獣を使わせたり、対戦相手のフォワードと相討ちになることが望ましいと言えるでしょう。つまり、どうやってそういった状況に持ち込むかというのがこのデッキのプレイングのポイントになります。

火雷という攻撃的な色の特徴を活かして、序盤から攻めてダメージを稼いでいくという戦い方が一つ挙げられます、ある程度のダメージが入れば、こちらの攻撃を無視できなくなり、必然的に【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスを対処しなくてはいけなくなるでしょう。

また、相手のフォワードとの相討ちを考えるなら、【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスを防御的に使うことも視野に入れておきましょう。これらのフォワードより大きなパワーを持つフォワードをブロックして、【1-019U】ブリュンヒルデなどと合わせてブレイクするという形も【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスならば損にはなりにくいので、積極的に使っていくことができます。

拮抗した状況では、アタックをほかのフォワードに任せて、【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスで守るといった戦い方は基本の一つになるので覚えておきましょう。

また、【1-153S】クラウドをフィールドに出してしまうと、【3-005S】ザックスのブレイクゾーンに置かれたときのオートアビリティは無力化してしまうので、展開する場合はそこに注意してプレイしてください。

相手にするときのポイント

ソルジャーデッキはいくつかの弱点を抱えていますが、一番大きな点は、ソルジャーを多く展開することで戦線を構築するというデッキではなく、交換を繰り返して、アドバンテージを取っていくタイプのデッキということです。【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスは相応のパワーを持ってはいますが、ブレイクされない限りは一般兵とさほど違いはありません。スペシャルアビリティも持たないので、手札に来た同名のカードを活かすことも難しくなります。

安易にこれらのフォワードと相討ちをしてしまうと、相手の思うツボなので、これらのフォワードと戦わないで済むならば戦わない方が賢明です。

【1-003C】赤魔道師でブロックを封じたり、【3-024S】ジェネシスでダル状態にするなどして直接ブレイクせずに一時的に対処することが対策の一つになるでしょう。

また、直接的な対策という点では【1-145R】ユウナも挙げられます、ブレイクゾーンに置かれなければアビリティが発動しないので、【1-145R】ユウナをバックアップに配置しておけば、ブレイクゾーンに置かれずにゲームから除外できるので、【3-069R】アンジールや【3-005S】ザックスのアビリティを完全に封じることができます。

■水単 バッツ&レナ

デッキの動き

属性単のデッキというのは、属性の特徴を最大限活かせるかわりに、欠点となる部分を補うことが難しいという問題があります。そのため、今までの『FF-TCG』では突破力に優れた火単以外では基本2属性以上で組まれることが多くなっていました。ただ、『ChapterⅢ』後の環境では、火単に加えて水単といったデッキが生まれています。

水属性の最大の特徴はその展開力にあります、【2-091C】ユージュなどのドローサポートとリンクを使い、【1-137C】バイキングなどを展開して、手札を充実させながら、またフォワードを展開していくことができます。『ChapterⅢ』では【3-098S】レナが加わったことで、この展開力という点でさらに大きな補強が行なわれたと言ってもいいでしょう。

しかし、並べるだけでは相手のフォワードを突破することはできません、そこで、より攻撃的なフォワードである【3-102S】バッツなどを採用するのが定番になっています。水属性の展開力ならば、【3-102S】バッツの5つのジョブをそろえるのは容易ですし、ヘイストを持つ奇襲性の高いフォワードとして運用することが可能です。こうした奇襲性は【1-090S】シャントットなどの全体除去を使われる前にダメージを稼げるため非常に有用で、水属性の欠点を補うものになっています。

また、手札に戻すといった一時的な対策しかなかった召喚獣も、限定的とはいえ直接フォワードを除去することができる【3-094C】不浄王キュクレインが加わったのも大きな収穫です。これによって、フォワード同士の戦闘も有利に進めることができるようになっています。

使うときのポイント

横に展開してからの、【1-149U】ワッカ、もしくは、【3-102S】バッツなどで勝負を決めるのが勝ちパターンになります。サイズ面では【1-133S】ティーダもおり、【2-093U】リヴァイアサンによるパワー補強も絡めれば、サイズで負けることもあまりありません。単属性ならではのパーティーアタックといった戦い方も容易にできるので、局面によってはしっかり選択肢に加えておきましょう。

このデッキの勝敗のポイントは相手の全体除去に対してどう対処するかと、【3-094C】不浄王キュクレインなどの召喚獣の使いどころでしょう。

土属性を相手にした場合、【1-090S】シャントットはもっとも警戒すべきカードです。1回使わせれば、2回目以降の登場には大きく制限が掛かるので、1回目をどのタイミングで使わせるかというのが問題となります。手札を多く使って展開してしまうと、アドバンテージを取られてしまうので、警戒する場合は、相手より少し有利な形で展開をしていきましょう、【1-090S】シャントット自身のコストは決して低くはないので、そこで使われたとしても、返しで展開できる余力があれば有利になります。

【3-094C】不浄王キュクレインなどの召喚獣はフォワード同士の戦闘で使う場合、大きなフォワードとの戦いだと先に使用しなければいけないときがあります。その際、先に使用した後に【1-103R】オーディンや【1-051U】アレキサンダーでこちらのフォワードを対処されると損をしてしまいます。相手が1回くらい召喚獣を使えるかなという局面では、【2-090C】魔界幻士などが立っている状態で使っていきましょう。

相手にするときのポイント

水属性のフォワードは展開力に優れますが、直接的に干渉してくる召喚獣は【3-094C】不浄王キュクレインと【1-147U】リヴァイアサンの2つになります。フォワードの総数を削ることで、戦力自体も大きく下がる構造になっているので、有用なスペシャルアビリティを持つ【3-053S】ヴィンセントやアクションアビリティを持つ【3-043S】バルフレアなどで、細かいフォワードを削っていくといいでしょう。

他には召喚獣の【3-011R】バハムート烈、水属性に恩恵をもたらす効果と【3-102S】バッツの動きを封じることができる【3-103S】エクスデスなども対策として使うことができます。

展開力はあれど、除去が限定的であるというのは水属性の弱点になるので、そこをしっかりと攻められるようなシステム的な能力を持った支配力のあるフォワードを採用できるかどうかが鍵になってくるでしょう。

氷雷 【3-024S】ジェネシス

デッキの動き

『ChapterⅢ』では大幅に強化された氷属性ですが、他の属性に比べ癖が強いため、デッキを組む際にもっとも悩ましい属性と言えるのではないでしょうか。
『ChapterⅢ』の新戦力として、【3-024S】ジェネシス、【3-018R】ヴァイスなどは非常に強力ですので、これらのフォワードを軸に、どの属性と合わせていくかというのが出発点の一つになっています。

このデッキでは、氷属性に直接的な除去がないという点を補うために雷属性をパートナーに選んでいます。【1-103R】オーディンや【1-112U】シーモアは小型のフォワードを効率的にブレイクできますし、大型のフォワードならば、【3-024S】ジェネシスや【1-039U】スノウといったダルにする効果がより有効に働くため、攻めを継続することで強さを持つ氷属性の特色を生かすことができるでしょう。

雷属性には【1-117U】ライトニングなどヘイストを持つフォワード、かつ、氷属性と噛みあった効果をもつフォワードもいるので隙を見せた相手に、大きなダメージを叩き込むことも可能です。単体のフォワードでは止めることは難しい攻撃的なデッキとなっています。

使うときのポイント

基本的に攻めの軸となるのは【3-018R】ヴァイスになります。攻撃時にはパワーが10000となるため、ほとんどのフォワードで止めることは難しいでしょう。コストは6と重いので必ずリンクで出せるフォワードが手札にいるときに出すようにしましょう。【3-018R】ヴァイスがいれば、単純に強力な【3-031U】ネロ、防御面に優れる【1-038S】スコールや【1-042R】ティナなどを状況に応じて出していくといいでしょう。

【3-024S】ジェネシスは相手に大きなフォワードが登場したときが一番のチャンスになります。【1-033U】シヴァと同じ効果を持つために、こちらの攻撃にして2ターン分無力化できるので、できる限り大きなダメージが望める局面で使っていきましょう。【3-024S】ジェネシスはスペシャルアビリティを持たないので、積極的にアタックして相討ちし、手札にある2体目を出していくといった戦略も必要になります。

相手にするときのポイント

氷属性を相手にした場合、どんなにパワーの大きなフォワードであっても、ダルによって無効化されてしまいます。1体のフォワードだけを立たせて守るというのは基本的に無意味と思ってもいいでしょう、とくに相手のフィールドに【3-024S】ジェネシスがいない場合は有効に使われてしまいます。1体のフォワードを残すよりは、全員でアタックするか、守りに回るならば、2体以上のフォワードを残しておいたほうが安全になります。ダメージレースを仕掛けるかどうかというのは明確にプランニングしておきたい点です。

ただ、氷属性に強い土属性を採用している場合は、より戦略の幅が広がります。【1-081R】ガイはダル状態にされませんし、【2-056C】黒魔道師のアクションアビリティが使えれば、相手の戦略を大きく崩すことができます。氷雷相手ならば、ブレイクされない【3-053S】ヴィンセントと【2-056C】黒魔道師のコンビは非常に強力な対抗手段になるでしょう。

雷多色 【3-071S】ギルガメッシュ + 【3-053S】ヴィンセント

デッキの動き

【3-071S】ギルガメッシュは非常に強力なアクションアビリティを持っていますが、継続的に利用して、その真価を発揮するには、多属性のCPが生み出せるバックアップは必須になります。ただ、逆を言えば、それだけのバックアップが用意できれば、デッキの軸になりうるだけのフォワードとして運用できます。

元々雷属性であるので、【1-112U】シーモアも効かず、アクションアビリティを使えば、召喚獣の効果によっては選ばれないため、除去に対する耐性が高く、パワーを上げることができるので、戦闘での強さも折り紙付きと言えます。

ギルガメッシュを活かすのに必要な属性である、雷風土火属性、その中でも多属性のCPを出せる【1-090S】シャントットや【2-059U】セルフィなどの、バックアップが充実している土属性を中心にした、コントロール寄りのデッキがこれになります。

属性のベースは不安定ですが、多くの属性からエースを集めた構成にもなっているため、単体単体のカードパワーは非常に強力なデッキと言えるでしょう。

使うときのポイント

基本的にバックアップが出そろってからの勝負になるので、序盤はバックアップのベースを整えることに注力しましょう。バックアップがそろわない内に【3-071S】ギルガメッシュなどをフィールドに出しても有効に使うことはできません。【1-112U】シーモアや【1-090S】シャントットなどを使い、相手の攻撃をさばきながら、舞台を整えましょう。

【3-071S】ギルガメッシュを出す際は、必ず、召喚獣に選ばれないというアクションアビリティを使える状態で出しましょう。【3-071S】ギルガメッシュの能力は手札からは使いにくいので、一番隙が大きい出す際には、バックアップを使わずに手札を切って出すのも重要なポイントになっています。

また、【3-071S】ギルガメッシュだけでなく、カードパワーの高いフォワードが入っているので、バックアップがそろい次第、状況にあったものを出しておき、消耗戦の後、【3-071S】ギルガメッシュは最後に出すのが理想的な展開の一つというのは覚えておきましょう。【3-071S】ギルガメッシュはCPを多く必要とするため、出したあとに大きなアクションを起こしづらいため、あとでプレイした方がよりスマートに能力を活かすことができるためです。

相手にするときのポイント

1回1回のアクションが大きく小回りの利かない構成になっているのが、このデッキの弱点になります。基本的に多属性のCPを出せる【1-090S】シャントットを早く置いておきたいデッキでもあるので、【1-090S】シャントットをうまく使わせないように、余計なフォワードまで展開するということがないようにしましょう。相手のバックアップがブレイクできるなら、【2-059U】セルフィなどを狙って、多属性がうまく出せないようにしましょう。

基本的には少数精鋭スタイルのデッキなので、ヘイストを持ったフォワーを多く入れておくことで、相手のフォワードがアタックしてきたときに、隙をついて多くのダメージを与えることができます。【1-003C】赤魔道師なども有効ですが、【3-037R】エアリスがいる場合は効果を発揮しないので、バックアップをブレイクできるカードをできれば入れておくといいかもしれません。

風火 【3-048C】密告者シュミハザ

デッキの動き

最後に紹介するのは、『ChapterⅢ』の召喚獣、【3-048C】密告者シュミハザを軸にしたコンセプト型の速攻デッキです。

序盤でできる限りダメージを与えて押し切るというスタイルのデッキで、リンクやヘイストなどを使って、早いターンで一気に展開しダメージを稼ぐことが可能になっています。とくに【3-101R】セオドアはリンクとヘイスト、その両方のニーズに答えるフォワードになっていて、序盤の攻撃でのキーカードと言えるでしょう。1ターン目からアタックに行くということも少なくありません。

このタイプのデッキは中盤以降の残り3点~4点をどう削っていくかというのが重要になりますが、従来の【1-003C】赤魔道師などのブロック阻害に加えて、【3-048C】密告者シュミハザが加わったのが大きな点です。基本的に低コストで構成されているこのデッキならば、相手のブロックに参加できるフォワードはかなり制限されるので、最後のダメージを守り切ることは難しいと言えるのです。

使うときのポイント

バックアップが少な目になっているので、序盤からリンクを使ってフォワードを展開していきましょう、【3-101R】セオドアと【1-013C】ティファ、このデッキならば、【2-008C】たまねぎ剣士の条件も達成しやすいので、これらのヘイスト持ちが攻めの起点になります。

ただ、バックアップがいらないかというとそうではありません、全体除去を持つ相手には、復帰を考えるとバックアップを置いておくのも重要になります。相手次第でどこまで展開するかというのは考えてプレイしていきましょう。全体除去を持つ相手には1枚から2枚のバックアップは置いておくと便利です。

また、【3-048C】密告者シュミハザは決めの場面だけでなく、多くのダメージが入る局面ならば積極的に使っていきましょう、【1-052U】ヴァルファーレからのヘイストもあるため、最後の1~2点を削ることは容易なデッキです。また、【1-052U】ヴァルファーレは【1-090S】シャントットなどから自分のフォワードを守るためにも使えます。フィールドが優位なら、相手の【1-090S】シャントットを想定して、常に【1-052U】ヴァルファーレを使える状態にしておくといいでしょう。

相手にするときのポイント

序盤でいかにダメージを受け過ぎないかというのが重要になってきます。とりあえず、バックアップを並べるデッキであっても、相手が最初に3体のヘイストでアタックしてきたという局面では展開を変えざるを得ません。相手に合わせて、相手のフォワードを止められるフォワードを展開していきましょう。

ただ、構成上、重めのフォワード中心や全体除去がないデッキではプレイングの余地がなく厳しいところがあります。なので、このデッキを想定する場合はデッキの中に細かいフォワードに対処しやすいカードを入れておくといいでしょう。展開に対しては【1-090S】シャントットなどが優秀ですが、戦線を支えるという点では【1-018R】フリオニールや、【1-111C】ザルバッグなども優秀です、これらのフォワードは除去をした上でフィールドに残るので、さらに相手のアタックを止めることができます。

序盤でダメージを入れられなければ、燃費のいいデッキではないので息切れを起こします。コストが軽くEXバーストを持つ【2-002U】イフリートなどの召喚獣を採用することでも序盤の攻勢をしのぎやすくなるでしょう。

5つのデッキを紹介しました。これからも、随時デッキの紹介などを行なっていきますので、『クリスタルカップ』の店舗大会への参考にしていただければと思います。